CNR (Contrast-to-Noise Ratio)

本ガイドの対象者 :

画像のコントラストに対して、人の目がどのようなときに誤った認識をしうるのかを理解したい方

本ガイドの内容 :

信号、コントラスト、ノイズの関係についてわかりやすく説明します。

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ノイズとCMOS技術について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。 Changing the Game.

カメラの信号検出能力を定量化したり (つまり「信号が見えるかどうか」)、検出器による測定の精度を定義するために、カメラの信号対雑音比(SNR)は非常に強力な手段です。しかし、SNRが常に最も意味のある値だとは限りません。

 

例えば、霧の日の街並みを撮影した写真を想像してみてください。画像は明るく、SNRも高いはずですが、コントラストが低いため、街並みを「見る」能力は損なわれています。コントラストとは、「視認性」(目的の信号と背景の信号を見分けることができるかどうか) の概念につながる一般的な用語です。光量が非常に大きい、つまりショットノイズが支配的になる領域では、感度は2つの異なるレベルの信号を識別する能力になり、多くの場合、最も重要な2つのレベルは信号とバックグラウンドです。

 

他のどのノイズ要因よりも、試料中のバックグラウンドは、感度を考慮する上では関連する用語として見過ごされてきました。バックグラウンドがSNRに影響することは分かっていますが、同じようにコントラストにも影響します。

 

基本的には、光ショットノイズが存在するため、バックグラウンド信号があるところには必ずバックグラウンドノイズも存在しますが、これにはカメラの要素もあります。SNRの式と同様に、コントラスト対ノイズ(CNR)も式で表すことが可能です

CNR = QE * S / [Nb + Ns]  (ここで、Nbは背景のノイズ、Nsは信号のノイズです。)

 

バックグラウンドやバックグラウンドのノイズがイメージングにもたらす困難さを簡単に視覚化する方法が、図1に描かれています。この図から、EM-CCDとORCA-Flash4.0 (ORCA-Flash4.0 V3の旧モデル) のどちらかを選択するという文脈でバックグラウンドを考慮する場合、CNRが特に重要であることがわかります。光ショットノイズが支配的な領域へのクロスオーバー強度は、カメラの読み出しノイズ (Nr) の関数であることが分かっています。Gen II sCMOSカメラではNrが大幅に減少したため、ほとんどの蛍光顕微鏡では、信号とバックグラウンドの両方が光ショットノイズ (またはeQE) が支配的な 領域に存在するようになりました。この領域では、EM-CCDカメラにはエクセスノイズ (Fn) が発生するため、EM-CCDで検出した信号とバックグラウンドのノイズは、ORCA-Flash4.0より高くなり、CNRが低下します。

信号強度とノイズのグラフ

コントラストとノイズ

 

(A) このグラフは、右上の図のように、挿入された灰色の四角を通る線の信号強度とノイズを表しており、コントラストという観点において、バックグラウンドの問題を示している。画像のコントラストとは、バックグラウンドと目的の信号を区別する知覚能力のことである。ノイズがなければ、信号がバックグラウンドとほぼ同じであっても、識別はそれほど困難ではありません。しかし、カメラノイズや光ショットノイズによって、信号とバックグラウンドの領域が同じような強さで重なってしまい、信号とバックグラウの分離が難しくなります。

バックグラウンドノイズ

(B) エクセスノイズの影響により、EM-CCDカメラで撮影した画像のノイズはORCA-Flash4.0より大きくなる。このため、バックグラウンドが高い場合、EM-CCDの画像では信号とバックグラウンドの分離が難しくなる。

CNRは、私たちが画質をどのように認識するかについても表しています。目安としては、CNRが2の画素は目視で検出でき、より低い場合では、CNRが1の画素は、ギリギリ検出できる程度です。ただし、これはバックグラウンドに対する1ピクセルの信号のCNRのことです。CNRが1未満の画像では、空間的または時間的な解像度が低下するものの、構造を示すことがあります。CNRが非常に低い画素をまとめると、空間画素平均化と呼ばれる効果があります。

CNR

私たちが画像を見るとき、脳は似たような信号の広い領域を統合し、パターン、対称性、エッジを探すなど、複雑な機能を果たしています。このため、CNRが非常に悪い (1未満) 場合でも、隣接する画素の集まりがあれば、それらを視覚的に検出できる場合があります。

 

数学的には、平均化された画素数の平方根によって視認性が向上します2。定量的な画像実験では、目視ではなく、きちんと定義されたアルゴリズムによって測定が行われます。しかし、私たちはどんな出版物やプレゼンテーションの画像も目で見ることしかできないので、脳内で自動的に行われている空間平均化や統合を意識する必要があります。

 

この自動的な視覚処理とともに、表示される画像は表示形式に内在する多くの変数 (例えば、モニターの品質、画像データの強度スケーリング、印刷技術など) の影響を受け、知覚されるコントラストに影響を与えることがあります。このような理由から、あるカメラで撮影された画像の品質を、目視やjpegなどの非可逆圧縮された画像ファイルだけで評価することは避ける必要があります。

参考文献

  1. Murray, J. M., Appleton, P. L., Swedlow, J. R. & Waters, J. C. Evaluating performance in three-dimensional fluorescence microscopy. J. Microsc. 228, 390–405 (2007).
  2. Thompson,M. (2003).

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